-出口の無い部屋<-

性別不問×2
A
B


SE ドアが開く



A「すみません失礼します」

B「あ!」

A「え?」



SE ドアが閉まる



B「ああー」

A「どうかされたんですか?」

B「いえ、なんでもないです」

A「いや、あきらかにどうかされましたよね」

B「あなたに言っても仕方が無いことですから」

A「なんですか、一体。人が入ってきたと思ったら突然落胆して、失礼じゃないですか」

B「すみません。でも、これを言うと、入ってきたあなたにもっと失礼なことを言うことになるので」

A「良いですよ。どうせ、一度落胆されてるんですから」

B「……そうですか。でしたら言いますけど。私はここから出たいんです」

A「え?」

B「出たいんですよ。ここから」

A「なんでですか」

B「ほら、もう、なんか不服そう」

A「違いますよ。純粋に疑問からくる顔です」

B「じゃあ、あなたは何でここに入ってきたんですか?」

A「そりゃ、楽しそうじゃないですか。ここのコンテンツって色々あって、歌とか劇とか」

B「そうですよね。楽しそうですよね。私も最初はそうだったんですよ」

A「今は違うんですか?」

B「今は……今もそうですよ」

A「じゃあなんで?」

B「テーマパークの憂いっていうんでしょうかね」

A「どういうことです?」

B「遊園地は好きだけど、スタッフで入ったらなんか違った。みたいな」

A「じゃあ、転職すれば良いじゃないですか」

B「例え話ですよ。それに、半分あきらめてもいるんです」

A「じゃあ、さっきから何をグチグチ言ってるんですか」

B「気付きませんか?後ろ」

A「後ろ?あれ?ドアが」

B「消えちゃうんですよ。ドア」

A「どういうことですか?」

B「消えちゃうんですよ。ドア」

A「それはさっき聞きました。じゃなくて」

B「それ以上のことは知らないって言ってるんですよ」

A「なら、そう言ってください」

B「行間読めよ」

A「いきなりなんですか」

B「あ、いえ、よくそう言われるんです。人に言ってみたくて」

A「失礼ですよ」

B「ええ、さっきお許しをいただいたので」

A「お許し?」

B「どうせ一度落胆されたので」

A「屁理屈じゃないですか」

B「そうなんですよ。もう屁理屈なんです。みんな」

A「誰の話をしているんですか?」

B「誰でも無いですよ。あえて言うなら、世間ですかね」

A「と、いうことは世の中は全部敵ってことですか」

B「ええ。だから、出口から出たところで、そこは外なのか否か」

A「モラトリアムのような、そうでないような」

B「好きでしょ。そういう話」

A「そう言われると嫌いです」

B「若いなあ。そういう反抗心を昔は私も持ってたけどさ、疲れちゃって」

A「出口は探されたんですか?」

B「探したよ。これでも結構頑張って探したんだけどさ」

A「けど」

B「一度は見つかったんだよ」

A「え!だってさっき無かったって」

B「うん。出口にはならなかった」

A「わからないなあ。ならなかったってどういうこと?」

B「自分で考えてみろよ。少しはさあ」

A「なんで、急にキレるんですか」

B「あ、これもよく人に言われることなんだよ。ちょっと言いたくって」

A「いい加減怒りますよ」

B「そんな簡単に怒るなよ。底が浅いと思われるぞ」

A「それも、言われたことあるんですね」

B「お!だんだんわかってきたね。見込みあるよ」

A「なんの見込みだよ。で、さっきの質問の答えはなんですか」

B「高かったの」

A「はい?」

B「出口の位置がまるで井戸に落ちて見上げたみたいに高かったの」

A「他はなかったんですか?」

B「だから、見つからなかったって言ってるじゃん」

A「昇る努力とか」

B「無理無理。あんな高いとこ絶対無理だって」

A「そんなのやってみなくちゃ……」

B「やらなくてもわかるの。怪我するのも嫌だし」

A「ふざけるなよ」

B「ふざけてないよ」

A「なにがだよ」

B「周りがそういう雰囲気なの」

A「周り?」

B「そうだよ。世間ってやつ」

A「なんでそんなに気にするんだよ。関係ないだろ」

B「あのね。関係あるの。この部屋は監視されてるし、君の行動も筒抜けだよ」

A「そんなこと言うなよ。息が詰まる」

B「そう。意識したら溺れそうだろう。だから、私は無理はしない」

A「最低だな」

B「ははは、どうあっても私は罵られるらしい」

A「帰る」

B「言っただろ。出口は無いんだ」

A「入ってきたんだ。出られないわけがない」

B「そうだね。君ならまだ出られるかも知れない」

A「さっきから、何を言ってるんだ」

B「わからなくていい。私が見つけたあの高い出口に行こう」

A「あんたは、親切なのか失礼なのか」

B「おせっかいなんだよ。ほら、ここから見上げると見えるだろ」

A「どれだ」

B「あのポッカリ開いてる穴だよ」

A「見えない。まさかとは思うが」

B「一人一人出口が違うのか」

A「……こればかりはしょうがない。なんでアンタが落ち込んでるんだよ」

B「おせっかいなんだよ。気にするな」

A「とりあえず、他に出口が無いか、もうちょっと探してみるよ」

B「ああ、力になれずスマンな」

A「いや、あんたも難しく考えずにちょっと別の部屋に言って気分転換してみなよ」

B「え?」

A「こんだけドアがあるんだから、まだ探してないドアだってあるかも知れないだろ」

B「ドア……」

A「ちょっと散歩に言って来る。」


SE ドアが開く


B「ちょっとまって」


SE ドアが閉まる


B「ああ、そういうことか」