花子さんと付き合うには



♂×1
♀×1

A 太郎
B 花子


SE ノック

A「はーなーこさーん」
B「はーあーい」
A「あっそびましょー」
B「いーいーよー。何して遊ぶ?」
A「僕と付き合ってください」

SE きしむドアが開く

B「そんなこと言われたの初めてなんだけど」
A「僕、本気なんです」
B「ちょっと待って、今いくつ?」
A「24です。」
B「私、いくつに見える?」
A「小学生です!」
B「幽霊なら合法とか思ったクチ?」
A「何言ってるんですか!花子さんだから好きなんですよ」
B「じゃあ、聞くけど。私のどこを好きになったのさ」
A「体は子供!頭脳は大人って感じの所を」
B「やっぱりじゃない」
A「じゃあ、とりあえず有りか、無しかを言ってください」
B「いや、考えたこと無かったからさ」
A「そんな寂しいこと言わないでくださいよ」
B「別にそんなんじゃないよ。でもね」
A「でも?」
B「そもそも現実的に考えて無理じゃない」
A「いけますよ!なんなら、花子さんが悩んでることを全部教えてください」
B「すごい前向きな人ね。嫌いじゃないわ。じゃあ、えっと、悩みね」
A「どんなことでも言ってください」
B「私、学校の外に出られないから、デートしたくても出来ないじゃない」
A「花子さんが良ければ、毎日トイレに通います!」
B「私が良ければって、あなた、仕事は?」
A「何も!」
B「マイナス一点」
A「え?」
B「私にだって好みはあるわよ」
A「じゃあ、トイレの掃除をする仕事に就きます!」
B「ここの?募集があるか知らないけど、まあ、悪い気はしないわ」
A「あ、悪い気はしないんですね」
B「何よ。じゃあ次!私、知っての通り幽霊だから触れないんだけど」
A「大丈夫です。ほら!」
B「ちょっと!変なとこ触らないでよ……って、なんで触れるのよ!?」
A「さあ?霊感が強いんですかね。昔っからなんですよ」
B「じゃあ、じゃあ、もしよ。もし結婚してって言ったら、考えられるの?私で」
A「何言ってるんですか。当たり前じゃないですか。挙式は和式と洋式とどっちでします?」
B「何言ってるの?だから私出られないのよ?」
A「だから、トイレですって、和式トイレで挙式します?洋式トイレでします?」
B「バカじゃないの」
A「本気ですよ」
B「やだ、もう、とっくにあきらめてたのに」
A「じゃあ、俺と付き合ってくれるんですか!?」
B「でもなー。顔がなー」
A「いやいやいやいや、今更じゃないですか」
B「だって、突拍子も無い話が現実味を帯びてきたら、色々と。ねぇ」
A「いや、厳しい条件を乗り越えてここまで辿りつく男性なんていないですって」
B「でも、あなたっていう可能性があるなら、もっと良い条件の男がいるってことでしょ」
A「それだと、いつまでも一人ぼっちじゃないですか」
B「今までそうだったから、別に苦じゃないし」
A「ダメだ!一人が長すぎて思考がダメな方向にいってる」
B「さあ、帰った帰った」
A「じゃあ、わかりました。花子さんの理想の男性を教えてください」
B「私の?えーと、優しい人」
A「じゃあ、僕だって当てはまります」
B「自分で言っちゃうの?」
A「自己アピールしてナンボじゃないですか」
B「あんたさあ、そんなに積極的なら、現実の女を捕まえた方が良いんじゃないの?」
A「いや、花子さん。あなたは自分の魅力に気付いていない」
B「私の魅力?」
A「そう。ワンルームに一人暮らしで」
B「トイレだけどね」
A「食費がかからず」
B「幽霊だからね」
A「なおかつ、幼女!」
B「結局そこじゃないのさ」
A「お願いしますよー。お試しに、ほんの一週間で良いですから」
B「いやだよ。だって、あんた触れるから、何されるか分かったもんじゃないわ」
A「トイレもいつも綺麗にしますから」
B「いや」
A「電気もLEDにしますから」
B「いーや」
A「蛇口も自動センサーにして、芳香剤もフローラルの香りにしますから」
B「いやよ!」
A「これでもダメですか」
B「……落ち着かないのよ」
A「え?」
B「落ち着かないの。何でもかんでも新しくされたら。私は古い方が居心地良いの」
A「そうですか……。それはすみませんでした」
B「でも、ウォシュレットは別だから」
A「はい?」
B「ウォシュレットにしてくれたら、三日間だけ付き合ってあげる」
A「ホントですか!?」
B「今夜は泊まってく?」
A「このトイレにですか?」
B「少し狭いけど良いかしら」
A「かまいません!むしろウェルカムです!」
B「あ、でも、帰りは気をつけてね?」
A「何がですか?」
B「元彼が嫉妬深い人でね。男性と付き合ってると怒るのよ」
A「元彼?」
B「そう、多分帰りに校庭で待ち伏せしてると思う」
A「もしかしてそれって」
B「二宮金次郎」

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