-正解の無い答え-


A内藤 誠二
B金田 勇気


選挙に向かう二人


A「お前、誰に投票する?」
B「そういうのは言わないもんだよ」
A「何でだよ」
B「個人個人の思想なんて違って当たり前なんだから、わざわざ喧嘩になる話をする気はない」
A「なあ、頼むよー。支持政党だけでいいからさー」
B「気持ち悪いなあ。何でそんなに俺に興味があるんだよ」
A「いや、新しい占いを作ろうと思ってさ。『政治家占い』って」
B「何それ、それで何が占えるんだよ」
A「お前の性格から未来まで、何でも」
B「気持ち悪いなあ。大体、そんなんで未来がわかっても、その党が勝たなきゃ意味無いじゃん」
A「そんな風にいうなら、言ってみろよ政治家」
B「いやだよ。誘導されてるじゃん、あきらかに」
A「そんなことないよ。まあ、言いたくないなら良いけど」
B「でも、意外だったな。お前が選挙行くとか」
A「はあ?お前、俺をバカにしてるだろ。行くだろ選挙」
B「いや、政治に興味があるのが意外だった」
A「俺だって政治に興味はあるよ。名前からして興味あるよ」
B「いや、確かに誠二だけども」
A「お前はなさそうな名前だよな」
B「なんでだよ。勇気!政治には勇気だって必要だろ」
A「いや、どっちかっていうと、冒険家だな」
B「冒険家って、インディ?」
A「そう。大きな岩に追いかけられる」
B「でも、そんなこと言ったら、苗字は金田だから、ギャンブラーじゃん。金だ!勇気!って」
A「良いじゃん、ギャンブラー。馬か?船か?自転車か?」
B「宝くじかなー」
A「おい!ギャンブラー。ギャンブルしろよ!」
B「良いじゃねえか、宝くじだってギャンブルだよ。大体しねえよ。金がねえよ」
A「働け」
B「働いてて金がねえよ」
A「なんでかなあ」
B「税金とか保険とかその他諸々とかかるんだよ」
A「なんだよそれ!誰がそんなに勝手に持ってくんだよ」
B「国」
A「どうしよう。俺達はどうやらレジスタンスのようだ」
B「何を何から解放するんだよ!」
A「俺達を国からだよ」
B「おまえ、これから選挙に行くのに何言ってるの」
A「だって、働いても辛いなら戦うしかないじゃん」
B「戦国か!」
A「じゃあ、お前はどうするんだよ」
B「俺は……俺の考えに近い候補者に入れるよ」
A「誰?」
B「そりゃお前……。いや、言わないって!!」
A「なんだよ。良いじゃん減るもんでもなし」
B「なんで、お前はそんなにモノの道理を理解していないのに選挙だうんぬん言ってるんだよ」
A「うちの叔父さんが出馬してるんだって」
B「え……誰?」
A「いや、言ったらお前、避けるじゃん」
B「当たり前だよ。俺は遺伝子を信じるもん」
A「お前、叔父さんは俺に似て優秀だぞ」
B「全力で避けるわ!」
A「ふふふ、果たしてお前は避けられるかな?」
B「くそ、苗字は一緒じゃないのか」
A「母方の弟さんだからな」
B「え、お前の母さんって、小学校の頃、お前の弁当にクサヤを入れてたろ」
A「懐かしいな、クサヤ事件」
B「最悪だったよ。あの時、俺、隣りの席だったんだからな」
A「最初、金田がおならしたとか疑われてたよな」
B「……決めた。弟って言ったから、女性に入れれば絶対大丈夫だ」
A「ちょっと待てよ。お前の考えに近い人に入れるんじゃないのかよ」
B「地雷原があるなら、わざわざそこに突っ込んで行く必要は無い」
A「人の叔父さんを勝手に地雷扱いするなよ」
B「女性なら……」
A「俺の叔母さんも出馬してるんだ」
B「はあ?」
A「父方の妹で、既婚者だから苗字は勿論違うし」
B「お前んち何を考えてるんだよ」
A「だから、俺、どっちに入れようか迷っててさあ」
B「出馬って、結構金がいるのに、なんでどっちも出てるんだよ」
A「二人とも出馬を決めてから知ったらしいよ。それにほら、うちは先祖が地主だから」
B「間違ってる」
A「え?」
B「バブルが弾けた後にそんな風に金が出せるなんて、結局元々の格差がモノを言うじゃないか」
A「お前が俺に聞くなよー。俺が分かるわけないじゃん」
B「高等教育を受けるとか、何とか。救われたいのは今の俺なのに」
A「お前、結構苦労人だもんなー」
B「絶対、俺の大事な一票を無駄になんかしねえからな」
A「どうするんだよ」
B「前から名前を知ってる人にいれる」
A「ふーん。そいつは俺の親戚より変な奴かも知れないぞ」
B「芸能人なら、結構バラエティとかドラマで見たことあるから大丈夫だ」
A「政治とか分かってるのかね」
B「お前よりはな」
A「じゃあ、今回だと、この元アイドルグループの子?」
B「そうだな…。ああ、この後、用事があるから細かくマニュフェストは見られないけど、多分大丈夫だろう!」
A「俺も大概だけど、お前もあんまりだな」
B「何がだよ」
A「んー、目先の情報に振り回されて大局を見誤るかもな」
B「何だよそれ、こういうのに正解なんて無いだろ。凄いことをしてくれる期待だってあるんだから」
A「いや、…………今のは占いの結果だよ」